想い出遊園地

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 小学生のころ、祖父母に連れられて、名前も知らない遊園地を訪れたことがある。
 遊園地は一見すると廃墟のようだった。
 だが、祖父母が扉の壊れた制御室の機械を動かすと、途端に遊具に命が吹きこまれた。
 さび付いたメリーゴーラウンドも、今にも倒れそうなジェットコースターも、祖父母が手を触れただけで、まるで新品のように光沢を放ち、私を優しく迎え入れてくれた。
 遊園地で遊んだのは数時間のことだった。それでも、私の印象に深く刻まれた。
 今、私は社会人として働きながら、休みの日になると、あの思い出の遊園地を探して、地元を旅して回っている。
 祖父母は私が大学生の時に亡くなった。だから、あの遊園地について知っているのは、今はもう私しかいない。
 だからこそ、探したいのだ。あの日過ごしたかけがえのない時間が、現実のものであったことを確かめるために。
ファンタジー
公開:24/04/11 08:26

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