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遊園地にいたはずなのに、いつの間にか迷ってしまった。人生に。
家族でメリーゴーラウンドに乗っていたときだった。
なんだかそれが嘘の幸せのように思えてしまったのだ。
俺にはもっと違う未来があったんじゃないか。もっと刺激的な生活が。そして気づけば、この無機質な部屋にいた。
部屋には老人がひとり座っている。
「あの、ここは?」
老人は壁を指差す。そこには〝マイ迷子センター〟の文字。
「ここは人生に迷った者が訪れる迷子センターだ。あんた、家族はいるのかい?」
「はい、妻と子が」
ふたりの顔を思い出すと、急に心があったかくなった。
こんなにも大切な存在なのに、なぜさっきは迷ってしまったんだろう。老人は微笑む。
「それなら大丈夫。きっと迎えに来てくれる」
途端に、どこか遠くから妻と子の声がした。俺は老人に聞く。
「あなたはなぜここに?」
「あんたと同じ、迷子さ。ただずっと、誰も迎えにきていないだけで」
家族でメリーゴーラウンドに乗っていたときだった。
なんだかそれが嘘の幸せのように思えてしまったのだ。
俺にはもっと違う未来があったんじゃないか。もっと刺激的な生活が。そして気づけば、この無機質な部屋にいた。
部屋には老人がひとり座っている。
「あの、ここは?」
老人は壁を指差す。そこには〝マイ迷子センター〟の文字。
「ここは人生に迷った者が訪れる迷子センターだ。あんた、家族はいるのかい?」
「はい、妻と子が」
ふたりの顔を思い出すと、急に心があったかくなった。
こんなにも大切な存在なのに、なぜさっきは迷ってしまったんだろう。老人は微笑む。
「それなら大丈夫。きっと迎えに来てくれる」
途端に、どこか遠くから妻と子の声がした。俺は老人に聞く。
「あなたはなぜここに?」
「あんたと同じ、迷子さ。ただずっと、誰も迎えにきていないだけで」
ホラー
公開:24/04/10 23:50
児童文庫を書いています。著書に『鮫嶋くんの甘い水槽』『無人島からの裏切り脱出ゲーム』『絶対通報システム~いじめ復讐ゲームのはじまり~』など。
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