どこでもテーマパーク

「はぁー」
急遽出勤を命じられ、チケットをキャンセルし、職場で一人半泣きになっていると、テーマパークから電話が来た。
「どこでもチケットに変更しますか？」
「はい？」
よく分からないまま返事をすると、座っている椅子が走り出した。慌ててしがみつく。
「うわー」
椅子は上下しながら職場を駆け回り、五分後に、元の位置に戻った。
トイレには鍵がかかっていて入れない。
「ただ今二時間待ちですが、ファストパスを利用しますか？」
有料だ。急いでクレジットカードを入力する。
ガチャ
トイレの鍵が開いた。座ってほっと一息ついた瞬間、便座が傾き、カタカタと音を立て始めた。
「ぎゃー」
便座は三度の急降下の後、螺旋状に回った。速度が落ち着いてほっとしたのも束の間、四度目の降下とともに、ウォシュレットの水がものすごい勢いで丸出しの尻に当たった。
「ひゃー」
全身水浸しになったが、その後、五回ファストパスを買った。