迷足

帰宅途中、道端で人の足らしきものが震えていた。
作りものかな？と思ったけど触ってみると温かい。きっと誰かが落としたんだろう。
足は怪我をしていた。放っておけない。家に連れて帰り、軽い治療を施す。
迷子ならぬ迷足。しばらくは僕の家で面倒を見るとしよう。

数日後
帰宅途中、『すみません。足を捜しているんですけど知りませんか？』と女性の幽霊に声をかけられた。
その足なら…と先日の出来事を話す。
『それ！私の足です！貴方の家に連れて行って下さい！』
女性は私に憑りついた。背筋がゾッとする。早く帰って、足を渡すとしよう。
迷足が体に戻り、生き返った女性。
その日から女性はお礼と言っては私の家をよく訪れる。
「足が勝手に、この家に向いちゃうんです…」
それはいいけど、どうやって僕の家に入ったの？
「合鍵で入ったに決まっているじゃないですか」
女性に鍵を渡した覚えはない。眩暈がする。背筋がゾッとした。