20XX年宇宙の旅

宇宙というのは実に空虚なものだ。
私は窓(といっても実際には窓ではないのだが)を眺めてそう思う。
かつては夢の乗り物だった宇宙船も、今ではすっかり生活の一部となってしまった。
もっとも一部の貧乏人にとっては未だに夢の乗り物なのかもしれないが。
宇宙船というのは実に退屈な乗り物だ。
広大な宇宙を進むには遅すぎる。
最近話題のワープ航法とかいうやつならもう少し速いのかもしれないが、私には手が出せない。
ただ、技術の進歩というのは偉大なもので、最近の宇宙船にはコールドスリープがついていることも多くなってきている。
宇宙船に乗っている約３か月間を寝て過ごせるのだ。
これによって体感時間的にはほぼ一瞬で目的地につける。
景色を楽しむのもほどほどにして、私は長い眠りについた。
と同時に私は目が覚めた。
ここはどこだ？
あぁそうか、ここは遊園地だ。
私は宇宙の旅を体験したのか。
私は思わず涙をこぼした。