遊引～あそびき

商店街の福引でメリーゴーランドが当たった。
「三等、大当たり～！」
乗車券ではなく現物だ。家の庭には大き過ぎる。目録の木馬に跨りつつ困っていると、
「私は二等ですが、交換しませんか？」
別の客にありがたい申し出を受けた。
「お願いします！」
ホッとして振り返ると、くだんの客がゴンドラから降りて来た。
「助かった。観覧車は大き過ぎて」
よけいに大きくなった。観覧車の天辺から景品交換所を見下ろしつつ悩んでいると、
「僕は一等ですが、交換しませんか？」
「お願いします！」
ホッとして振り返ると、くだんの客がレールで宙返りしていた。
「助かった、ジェットコースターは大き過ぎて！」
さらに大きくなった。突っ走るコースターに揺られつつ途方に暮れていると、
「儂は特等だが、交換せんかね？」
「貴方は何が当たったんです！？」
「遊園地じゃよ」
権利書を掲げた客の背後に、木馬とゴンドラとコースターが見えた。