中庭から

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エミリと五人の男たち。男たちはエミリの友人でエミリを信奉し献身的。部下というのが正解かも。彼らは美青年ですらりと強靭な肉体の持ち主。五人が中庭でひそひそ立ち話をしているとエミリが通り過ぎる。笑顔を振りまいてエミリは回廊をさっそうとゆく。五人は直立して神妙に笑顔を受け取る。
エミリが部屋に戻ると大粒の雨が降ってきた。中庭に降り込む雨がすぐに滝のような音を立てる。ピアスを外そうとしてエミリは気がついた。右のピアスがない。さっき中庭を歩いて彼らを振り返ったとき、植え込みに落としたに違いない。窓から見下ろすと中庭にはもう土砂降りの渦ができている。
エミリは五人に一斉メールを送る。そして苛立つことなく音楽をかけて子猫の毛を撫でながらもう一方の手で形の良い右の耳たぶをさわっていると、五人のひとりからメールが来る。
「ピアスを見つけました。やはり中庭でした。溺れそうです。四人は流されてしまいました」
その他
公開:24/04/10 16:18

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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