観覧車

2
3

ここは、観覧車の中。
低い場所から高い場所へと移動するにつれて、遠くまで見渡すことができるようになる。
最上部にくると、遠くにグランドキャニオンが見えた。
夕日に染まった岩肌が赤く輝いてうつくしい。

観覧車が地上へと戻ったが、わたしは乗り続ける。
次は、オーロラを見よう。その次は、富士山だ。

ぼくのおじいさんの、そのおじいさんの頃には、観覧車は広大な敷地に立っていたそうだ。
小さな箱が何個もついていて、それがぐるぐると下から上へ、上から下へ回っていた。

あるとき、とうとつに核戦争が起こり、陸地は汚染されて住めなくなった。
人類は地下へと引っ越した。
せまい地下都市には、観覧車など建設する場所がない。

ぼくは、自分の狭い部屋でヘッドセットをつけている。
そして、観覧車からみる景色を楽しんでいる。
いつか、本物の観覧車へ乗ることを夢見ながら。
SF
公開:24/04/10 15:57

もりを

400文字という制限のなかで、あれこれと言葉を考えるのが楽しいです!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容