海の子

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「真っ暗だな、、、」
私は洞穴の前に立ち、そう呟いた。友人に
「ここには海の子が遊びに来る」
と言われやってきたものの、子供ひとり見つからない。
そもそもここは数年前の津波のせいで決壊し、中には立ち入れないようになっている。

冗談だったか、と思い帰ろうと背を向けようとしたその時、きらり、と中で何かが動くのが見えた。

まさかと思い振り返ると、なんと本当に、洞穴の中に子供の姿が映っていたのだ。時折風で揺らめいて、本当に遊んでいるように見える。
私は考えた。きっとこの洞穴が決壊したとき瓦礫がうまい具合に重なったのだろう。時刻は日没近く、太陽が沈んで水面に反射すれば、洞穴に光が入り子供が浮かび上がる。それが、友人の目には海の子供のように映ったのだ。
私は友人に感謝しながら、日が沈むまでの間、海の幼子が楽しげに踊る様子を眺めていた。
その他
公開:24/04/10 00:42

ちむ( 愛媛県 )

文を書くことにハマり、最近活動を始めたひよっこ高校生です。お手柔らかにお願いします。

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