ここは宇宙船

1
4

観覧車の中に入ると、一つずつの宇宙船にいる気持ちになる。授業中、保健室のベッドにいる時と同じ。四角く仕切られた一人きりの場所。遠くなる地上に手を振る。無事戻れたら、また会える。
近くにペンギンやゴリラの家、その向こうには川が見える。動物園の中の小さな遊園地、昔はここが一番楽しくていつも笑って、さっきだってそうした。
頂点を過ぎて、旅を終えた宇宙船は大気圏に入る。地上に着くまでに泣き終われば、誰にも気づかれない。いつかは二人で、ここから見えるどこへだって歩き回れたのだ。帰りはおんぶで、楽しかったね、また来ようねって。
濡れた視界も乾いて、段々と地上がはっきり見える。僕の帰りを待つ人が見える。Tシャツの裾で顔を拭く。腕時計で、病院に戻る時間を確かめる。
やがて宇宙船は地上に到着する。ただいま。目元を赤くした僕らは、顔を見合わせて笑い合う。車椅子に乗ったお母さんと僕は、ちょうど目線の高さが合う。
その他
公開:24/04/09 23:42
更新:24/04/20 16:55
遊園地

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容