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それは人里離れた小高い丘にある。
かつては遊園地だったが、数年前から「遊怨地」に変わった。

入場券を買ったら、まず計量をする。怨量を量るのだ。その結果でスタッフからアドバイスを受ける。怨量の多い人は絶叫系のジェットコースター、さほど多くない人にはメリーゴーランドやコーヒーカップなどが勧められる。遊具の近くまで行き、深呼吸の後、思い切り怨を吐き出して乗り物に乗せる。あとは椅子に座って怨が遊ぶのを眺めていればよい。もっとも怨は人の目には見えないのだが。計量場で怨量を量れば、いつでも怨の減り具合は確認できる。心に溜まった怨念を遊ばせて減怨することが、ここへ来る人々の目的だ。
ジェットコースターに怨を乗せ続け、延々と減怨する人もいれば、年に何回も通う人もいる。お得な年間通怨券も発売されている。

減怨は現代社会を生き抜き健康で長生きするために、今後ますます必要性を増すと言われている。
その他
公開:24/04/09 21:32
更新:24/04/10 08:04

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