性格が球筋に出る

俺はビビりで優柔不断で臆病者だ。
そんな俺を監督は重要な場面でピッチャーとして起用する。
ああ…無理だよ。見てよ相手バッター。外国人選手だよ。あんなの絶対に打たれるに決まってんじゃん。
監督、何でここで俺なんですか？勘弁して下さいよ。
ああもうヤダ！打たれても俺のせいにしないで下さいね！
…あれ？相手バッター調子悪いのかな？空振り三振が続く。
しかも打ったと思ったらその球はピッチャー返しよろしく俺のグローブへと吸い込まれるように戻ってくる。
一体何がどうなっているんだ？

「監督！何でこんな重要な場面であんな奴をマウンドに立たせるんですか！」
『あいつの投げる球はな、あいつそっくりなんだ。見ろ。ボールのくせにバットにビビって打たれるのを避けるように飛んでやがる。さっきのピッチャー返しなんて、バットに当たる寸前に投手のもとへと逃げ帰りやがった。あんなボールを投げられる奴、俺は他に知らねぇよ』