推し色に染まる

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「あれ、紫のポーチにしたの?」
「うんっ、推しの色!!」

 今までは選ばなかった色でも、推しの色となるとつい手に取ってしまう。気がつけば、持ち物の殆どが紫色に染まっていた。
 
「好きだねぇ。」
「勿論!推せるうちに推さないと、いつまでいるかわかんないし」

 会ったこともないし、どんな顔かも知らない。ただ、いつも決まった曜日に動画を投稿したり、配信をしているだけの推し。笑い声が可愛くて、話し方が柔らかくて。憧れでもあって。

「グッズ出すからバイト頑張らないと」

 推し活だって立派な青春だ。恋愛とは違うけど、推しのことは大好きだし。いつか、居なくなってしまうかもしれないけれど。
その時まではずっと好きでいたい。推しのファンとして、恥じない人間でありたい。

 だから今日も私は、推し色に染まる。
青春
公開:24/04/07 17:00
更新:24/04/07 16:50

紡木よすみ( 関東 )

すきなものを、すきなように。
 

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