観覧車の伝説

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19歳の夏、親友のマリと閉園間際の遊園地に行った。目的は観覧車。その観覧車には「その日最後に観覧車に乗り頂上で目を閉じると、将来の伴侶に会える」という伝説があった。

私達のゴンドラはゆっくりと上がった。もう少しで頂上というところで私達は目を閉じた。

目を開けるとマリはもう目を開けていて、泣きそうな顔をしていた。私達は無言のまま観覧車から降りた。

マリには交際中の人がいた。でも彼女が見たのは、髪の薄い中年の男性だった。「彼じゃなかった」とマリは落ち込んだ。私が見たのは、背が高く褐色の肌をした異国の青年だった。

あれから6年が過ぎた。
私はNGOの仕事で忙しく海外を飛び回っている。最近、南米であの日見た青年によく似た人と出会った。
マリは交際中だった5歳年上の彼と、まだ続いている。「彼、最近急に髪が薄くなってきて、年齢より老けて見えるのよね」と心配しながらも、何となく幸せそうだ。
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公開:24/04/06 23:10
更新:24/04/07 08:52

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