とあるコメディアンの生涯

　昔々、ロンドンの街に1人のコメディアンがいた。男の名は、ジェニー。その街では、無名のコメディアンだった。　
　ジェニーは、名前を売ろうと街中で道行く人にパフォーマンスをした。すると、徐々に名前が知れ渡り劇場からオファーが来るようになった。そして、ジェニーは沢山の人々を笑わせた。
　それから月日が経ち、ジェニーは老いぼれていた。病床に伏せ、やがて来る死を待っていた。すると、そんなジェニーの元へ毎日沢山の人が見舞いにやってきた。
「今まで沢山笑わせてもらったからな」
　そう言ってお返しに、皆ジェニーを笑わせに来た。
　しかし、ジェニーは笑いのプロ。簡単には、笑わなかった。そして、とうとう100人目の見舞い客になった。その客は、渾身のギャグを披露した。すると、ジェニーは笑った。そして、ジェニーはその客に言った。
「お前のギャグ好きだぜ」
　よく見るとその客は、昔の自分の姿をしていた。