ふっかつのじゅもん

交通事故で愛する妻を亡くした私は日々を無為に過ごしていた。
生きる気力もない。死んでしまいたい。そんな気持ちで、妻と式を挙げた教会へと足を運ぶ。
ここで死んだなら妻のいる天国に行けるかも…なんて想像し、ポケットに手を突っ込む。
ん？何か入っている。ふっかつのじゅもん？懐かしい。昔のゲームはセーブじゃなくてこれをメモしていた。
そこに書かれた文字列を一言一句間違えずに読み切る。
すると結婚式の真っ最中に時間が戻っていた。
意味が分からない。だが、妻は生きている。それなら意味なんてどうでもいい。
私は神に誓う。絶対に妻を死なせないと。

突然涙ぐむ夫を見て、この人はタイムリープしてきたんだ…と気づく。
前回の私は夫より先に亡くなったようだ。
あんなにも強かった夫が、私の死でこんなにも弱くなるのか…
私は神に誓った。もう夫を絶対に弱くさせない。
二人で強くなると決めた今日のパスワードをメモした。