乗れなくなったジェットコースター

『ついに、乗れなくなったか』

この日は、ヒーローショーを見るために、隣町の遊園地を訪れていた。
両親にとって、初めて孫と行く遊園地。
私や妹が学生の頃と、変わらない遊具もあれば、新しくできたアトラクションもある。
懐かしそうに歩いていると、ふと看板の前で父が足を止めた。　
「年齢制限：64歳以下」
幼児や身長以外の制限。
ただの数字が重みを持って、両親に残された時間を意識させる。
『高血圧だから、そもそも乗れないでしょ』
肩を叩いて、歩みを促すことしかできなかった私に、父は笑ってこたえてくれた。