バースデー

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学校から帰ってくると、母がお茶とケーキを用意して待っていた。
そして私が席に着くなり、毎年恒例の嘘をついた。
「さっきね、UFOが降りてきて、お隣の奥さん、灰色の宇宙人たちに連れ去られちゃったわよ!」
母は自分のついた嘘に、自分で笑い転げた。
「ええ、何よそれー?」
今日は私の二十回めの誕生日なのだが、エイプリルフールの日でもあるので、母は毎年のようにこんなくだらない嘘をつくのだ。
「あはは、ウソウソ、冗談よ!」
四月一日に嘘をついたってすぐバレるのに、一体何が楽しいのやら⋯⋯。

「あなたが生まれて、今日で二十年経ったのねぇ」
「うん、そうだよ」
私はケーキをほおばりながら答えた。
母は狡そうな目をして私を見つめると「じゃあ、もうバラしてもいいかぁ」と言った。
えっ、何の話?

「実はね、あなたが生まれたっていうのは、私がついた嘘だったのよ」
と母が囁くと、私の体は夕闇の中に消えた──。
ホラー
公開:24/04/01 16:39
ショートショートカレンダー エイプリルフール

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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