きらめくフライパン

私は毎朝、家族を起こすのにフライパンをおたまで叩く。漫画でよく見る光景だ。
とはいえこんな事をするとフライパンやおたまは傷んでしまう。すぐに使い物にならなくなってしまう。
大丈夫。私はこの二つを漫画専用にしか使っていない。そもそもこれは料理を作る前の仕込みでもある。
ウチは今日の夕食、漫画肉のステーキにするつもりだ。だから入念に、しっかりフライパンを叩いておく。
おたまで叩いたフライパンに油を引き、グルメ漫画をじっくり焼いていく。
この巻では肉は勿論、魚料理や山菜料理まで出てくる。それをじっくり焼いて、１枚のステーキ肉へと仕上げる。
完成したそれを口に入れるとミルフィーユ状に折り重なった肉・魚・野菜の味が堪能できる。普通のフライパンではこう上手くは作れない。フライパンを漫画仕様に変えてこその料理である。
漫画仕様にすると何の変哲もない料理がきらめいて見える。これが俗にいう漫画補正である。