Mock orange

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憎しみも強い拘りもない。
なのにずっと心に残る人がいる。
何かの時にふと思い出す人。
多分、誰にでもいるのだと思う。

私のその人は職場の先輩で年下の人だった。
誕生日が同じで、そのせいか妙にフィーリングが合った。
凄く不思議で戸惑ったのを覚えている。

奇妙な感覚。
誕生日が同じだから感性が似る訳もないのだけれど、他に説明できそうな理由もない。
同い年でもないし、育った地域も違う。
性別は違うし、歩んできた道のりも違う。

なのにとても似ていた。
何も言わなかったけれど、お互いそう思っていた。
特別なのに、そこにいるのが当たり前の様な安心感。

凄く変な感じだった。
全然別の場所から同じものが出てきたみたいな。
全然違う場所なのに同じ匂いがするみたいな。

今でもふと思い出す。

その不思議な空気感。
何も混ざっていないまっさらな空気の様な匂い。

元気でやっているかなと、ふと思うのだ。
公開:24/04/02 20:45
回想

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(整理したSSはNovelDaysにあります)
http://lit.link/misonegi

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