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商店街の端に古い家がある。久しく住人はいない。商店だった家はひっそりとシャッターを閉じる。夜になると人がやって来る。シャッター脇の小さな扉から入ると土間にパイプ椅子が六脚。来た人は椅子に座る。六人が座ると扉が閉じる。椅子が向くシャッターの裏側は白ペンキで塗られ、映画のスクリーンのようであるが、映像設備も音響設備もない。
夜の十時を過ぎると静まる商店街にわずかな振動が聞こえる。家の寝息である。白いシャッターがぼんやりと光る。家が夢を見始めた。六人は目を凝らす。シャッターに夢が映る。昔の商店街の風景、人々で賑わう季節の商店イベント。夏祭り、冬の雪まつり、クリスマス。夢は順不同。三十分ほどで夢は終わり土間は真っ暗。しかし誰も帰らない。一晩に数回、家は夢を見る。夢は断片的に映っては消え入る。空が白々と明けると六人は席を立ち、潤った気持ちで家路に着く。毎夜、街の誰か六人が家の夢を見にやって来る。
夜の十時を過ぎると静まる商店街にわずかな振動が聞こえる。家の寝息である。白いシャッターがぼんやりと光る。家が夢を見始めた。六人は目を凝らす。シャッターに夢が映る。昔の商店街の風景、人々で賑わう季節の商店イベント。夏祭り、冬の雪まつり、クリスマス。夢は順不同。三十分ほどで夢は終わり土間は真っ暗。しかし誰も帰らない。一晩に数回、家は夢を見る。夢は断片的に映っては消え入る。空が白々と明けると六人は席を立ち、潤った気持ちで家路に着く。毎夜、街の誰か六人が家の夢を見にやって来る。
その他
公開:24/04/02 10:30
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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