パーツは破線で

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四月にX星監督官の赴任を命じられた。仕事は退屈だが瞬間移動が楽しみだ。28世紀、長年の夢だった瞬間移動が実現した。対象を量子化して光速に近い量子波で飛ばし、現地で再構成する。瞬間というより短時間移動だが、最初の実用化はX星路線。まだ体験は希少。楽しみだ。
出発の日、私は手術台で身体を分解する。全身の一体移動は難しく、頭部、胴体、上肢、下肢に分けて送り現地で繋ぐ。身体を分解して繋ぐのはありふれた外科技術で抵抗はない。係員は私の首、上腕、太腿の周りに破線をマーカーで書く。なぜ破線なのか知らないが、そこで切断される。私の身体は六つに分かれ、それぞれカプセルでX星に送られる。まどろんで起き上がると、そこはX星だった。役所に向かい挨拶する。
「調子はどう?」「首がねじれた感じです」「少しずれるんだよね。そのうち慣れるよ」
周りには首がねじれた人が目立つ。90度横を向いた人も。X星では普通なのだろう。
その他
公開:24/03/30 10:04

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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