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 彼女と遊園地デート。園内で一番長い行列に並ぶ事にした。その方が待ち時間に二人でゆっくり話せるし、何より人気のアトラクションなら間違いはないだろう。同じようにカップルや家族連れが「人気だね」「並んでみようか」とはしゃいでは、次々と行列に並んでいった。初めぎこちなかった僕と彼女の会話も、行列の待ち時間ですっかりうちとけて、寧ろこの長い列がいつまでも続けばいいのにとさえ思えた。
 列はゆっくりと進み、やがて壁のある道に通された。徐々に道幅が狭くなり、壁は高くなっていった。そのせいで薄暗く、冷えた彼女の肩に僕の上着をかけた頃には、道は更に細くなっていて、僕らはギュウギュウに詰まってもう誰もこの行列からは抜けられなかった。
 密着し押されながら進む列の中、間近で見た彼女の顔に見覚えがない事に僕は気が付いた。道は少しずつ下降していて、暫く下った先に見えたのは『地獄』と書かれた入口の看板だった。
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公開:24/03/29 18:22
更新:24/04/02 15:11

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