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「悪いね。もう作ってないんだ」
下げた後頭部に店主の言葉が降り注ぐ。
「勝手なお願いなのは承知してます。いくらでもお支払…」
「そうなんだよ。やっぱり勝手なんだよ逢鍵なんて」
その鍵屋が提供する不思議な合鍵の存在を知り駆けつけた。
「分かるよ。でも逢いに行くチャンスはあったわけだ。何度も。
やっぱり石に布団を着せる事が出来ちゃ駄目な気がしてね」
店主はじっと顔を見つめハッと気付いた。「そうかあんた…そうか…」机上を指で叩く。涙声で礼を言い、家の鍵を差し出した。
逢鍵を手にする男に対して店主は言った。
「逢えたかい」「はい。驚きました本当にこの鍵で開けたらそこに母が…」
「話せたかい。一度きりの魔法だ」男は何度も頷いた。
「でも何故、この鍵を母にだけは作って頂けたのですか」
「…布団かな」「布団?」
逢鍵と並ぶ遺言書を店主は見つめた。
「親が子を想う時に後悔なんて存在しないと気付いたんだ」
下げた後頭部に店主の言葉が降り注ぐ。
「勝手なお願いなのは承知してます。いくらでもお支払…」
「そうなんだよ。やっぱり勝手なんだよ逢鍵なんて」
その鍵屋が提供する不思議な合鍵の存在を知り駆けつけた。
「分かるよ。でも逢いに行くチャンスはあったわけだ。何度も。
やっぱり石に布団を着せる事が出来ちゃ駄目な気がしてね」
店主はじっと顔を見つめハッと気付いた。「そうかあんた…そうか…」机上を指で叩く。涙声で礼を言い、家の鍵を差し出した。
逢鍵を手にする男に対して店主は言った。
「逢えたかい」「はい。驚きました本当にこの鍵で開けたらそこに母が…」
「話せたかい。一度きりの魔法だ」男は何度も頷いた。
「でも何故、この鍵を母にだけは作って頂けたのですか」
「…布団かな」「布団?」
逢鍵と並ぶ遺言書を店主は見つめた。
「親が子を想う時に後悔なんて存在しないと気付いたんだ」
SF
公開:24/03/31 00:03
更新:24/03/31 05:25
更新:24/03/31 05:25
まずは自分が楽しむこと。
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