迷子
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一人で遊園地に来るのは初めてだった。
なぜ、こんなところに来てしまったのだろう。楽しげなカップルや家族連れを眺める。
「迷子のお知らせを致します」
館内放送が聞こえてきた。そうだ、息子も迷子になって、呼び出されたことがあったなあ。
「お心当たりのある方はインフォメーションセンターまでお越しください」
ふらふらと足はインフォメーションセンターに向かった。
そこのベンチには中年の男性が三人、項垂れて座っていた。
「迷子ですね。迎えが来るまでお待ちください」
係員に言われて、気づいた。
そうか、私は迷子だったのか。
ベンチに座ると自然と頭が下を向いた。
地面をアリが列を作って歩いている。延々と歩いている。
待っても、迎えなんて、きっと来ない。
どれだけ時間がたったのか。
「もう、お父さん、何やってるの。帰るわよ」
突然、ハキハキした声をかけられ、男たちは一斉に顔を上げた。
なぜ、こんなところに来てしまったのだろう。楽しげなカップルや家族連れを眺める。
「迷子のお知らせを致します」
館内放送が聞こえてきた。そうだ、息子も迷子になって、呼び出されたことがあったなあ。
「お心当たりのある方はインフォメーションセンターまでお越しください」
ふらふらと足はインフォメーションセンターに向かった。
そこのベンチには中年の男性が三人、項垂れて座っていた。
「迷子ですね。迎えが来るまでお待ちください」
係員に言われて、気づいた。
そうか、私は迷子だったのか。
ベンチに座ると自然と頭が下を向いた。
地面をアリが列を作って歩いている。延々と歩いている。
待っても、迎えなんて、きっと来ない。
どれだけ時間がたったのか。
「もう、お父さん、何やってるの。帰るわよ」
突然、ハキハキした声をかけられ、男たちは一斉に顔を上げた。
その他
公開:24/03/30 22:52
名作絵画ショートショートコンテストで「復元師」が太田忠司賞を受賞しました。
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「ショートショートの花束」8と9にものっていますので、よろしく。
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