飛翔園

アヒル声ガスをご存知だろうか。ヘリウムガスを吸うとアヒル声になる。娯楽用だが呼吸器系によくないと普及はしていない。某遊園地の研究チームはアヒル声ガスをヒントに新商品を開発した。「ふわふわガス」である。胃に飲みやすく、健康に害はない。これをお腹いっぱいに吸うと身体がふわふわと宙に浮く。二メートルほど浮いて遊べる。五分でゲップが出て床に降りる。子供たちに人気の体験アトラクションができた。
ふわふわガスの成功をみて、研究スタッフはさらに改良を続けた。浮力がより強く身体に馴染むガス。新開発のガスは胃から腸まで充満できる。高さ十メートルでゲップをせずに三十分は浮ける。訓練を重ねるとガスをお尻の穴から小出しにして前に進める。思う方向に飛ぶことも可能。熟練スタッフが園内を飛んでみせるとすごい人気。利用者が増えた。
この遊園地こそ飛翔人間発祥の地である。その後、飛翔園と名を変えて飛翔の訓練教習所となった。