回転木馬に走る一閃…!

6
4

息が詰まる程の静寂で支配された夜の遊園地。
妖しく嗤う三日月を背に回転木馬と向き合う男。風もないのに揺れる浅葱の羽織、闇に波打つ白のはちまき。その背に背負うは「遊」一文字。

「……御遊具改めである」

確固たる意志の込められた低い声で一頭の黒い木馬へ告げると、男は鋭い眼光で射貫き、疾風の如く腰の刀を引き抜き一閃を浴びせる!!

―ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!

黒い木馬に憑りついていた悪しき落ち武者の霊が、苦悶の声をあげながら消え去る。
最近、この遊園地では回転木馬での事故が多発していた。理由は先程の悪霊のせい。遊園地の平穏を守る組織【遊園隊】の隊士である男は、局長から命を受け、落ち武者の霊魂をその未練ごと断ち切ったのだ。
役目を果たし「ふっ…」と息を零すように笑う男。辺りを穏やかな静寂が包み込む。刀身に白い月光を滑らせ、流れるように刀を鞘へ納める密やかな音だけが、その場に響いた。
ファンタジー
公開:24/03/27 21:55
更新:24/04/02 21:06
遊園地 御遊具改めである! リクエストありがとう!

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

いつもご訪問ありがとうございます!
元:ネモフィラは咲うです。大原さやかさんのラジオ「月の音色」では、ペンネーム:花笑みの旅人として投稿しております。

日常に寄り添い、読んだ人がほんのすこ~しだけ前向きになれるような物語を書けたらいいなぁと思っています。

現在、少々多忙につき投稿のみのログインになる可能性が高いです。よろしくお願いいたします!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容