回転木馬に走る一閃…!

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息が詰まる程の静寂で支配された夜の遊園地。
妖しく嗤う三日月を背に回転木馬と向き合う男。風もないのに揺れる浅葱の羽織、闇に波打つ白のはちまき。その背に背負うは「遊」一文字。

「……御遊具改めである」

確固たる意志の込められた低い声で一頭の黒い木馬へ告げると、男は鋭い眼光で射貫き、疾風の如く腰の刀を引き抜き一閃を浴びせる!!

―ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!

黒い木馬に憑りついていた悪しき落ち武者の霊が、苦悶の声をあげながら消え去る。
最近、この遊園地では回転木馬での事故が多発していた。理由は先程の悪霊のせい。遊園地の平穏を守る組織【遊園隊】の隊士である男は、局長から命を受け、落ち武者の霊魂をその未練ごと断ち切ったのだ。
役目を果たし「ふっ…」と息を零すように笑う男。辺りを穏やかな静寂が包み込む。刀身に白い月光を滑らせ、流れるように刀を鞘へ納める密やかな音だけが、その場に響いた。
ファンタジー
公開:24/03/27 21:55
更新:24/06/12 22:15
遊園地 御遊具改めである! リクエストありがとう!

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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