名画でショート005『ついばみ』(ジャン=フランソワ・ミレー)

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これは、私が幸せだったときの思い出。
私の前に母親がいる。両側には二人の姉。父親は農作業に出かけている。王侯と聖職者に収める年貢が厳しくて、いくら仕事をしてもしても楽にはならない。生活は苦しくなる一方。
それなのに、母はプリンを作ってくれた。貴重品の卵と、さらに貴重な砂糖をふんだんに使って、とても小さなプリンを。
そのプリンをスプーンで小指のさきほど小さく掬い上げ、私の口まで運んでくれる。次に二人の姉に。私たちは私たち姉妹は、このうえなく甘いお菓子をついばんだ。私たちにとって、最後の幸せな時間。
姉妹は両親の決意を知るべきだったのだろうか。けど、気が付いたとして、幼い姉妹になにができただろうか。親鳥から給餌されるひな鳥たちのように、だまって両親の愛を受けるだけ。それが、両親の幸せになるのならば。
革命がおこる前日の話。
ファンタジー
公開:24/03/26 23:57

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