きらめくフライパン

その昔、女性が夫の浮気相手を冷凍肉で殴り殺し、それを焼いてステーキにし、夫に食べさせた事件があった。
その事件で使用されたフライパンを手に入れた私。薄くスライスした冷凍肉を焼いていく。
ナイフみたく鋭かった肉に適度な焼き加減がついたところで、それを店に訪れた彼へと提供する。おいしそうに食べてくれた。嬉しい。
私はその鋭い冷凍肉で私の髪の毛を切った。そのお肉、私の髪の毛で焼いたの。髪は女の命よ。貴方は今、私の命を食べているの。嬉しいなぁ…貴方は私を知らないだろうけど、私は貴方をよく知っている。奥さんを愛する貴方が私に振り向かないと理解している。だから私は貴方と一つになろうとしている。
やっぱりこのフライパンは当たりだ。今まで同様のやり方で肉を焼くと必ず焦げ付いていた。
だけどこのフライパンは私の愛を理解しているのか、焦げ付く事なくきらめいている。
私、これからも貴方の為に身を切るからね…