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彼が残していったのは、うすくて少し冷たい曹灰長石の三日月だ。
はかなげにぼんやりと光る三日月は、片手では持ちきれないサイズで、持ち歩くにはおおきすぎる。
「これって、離れるこいびとに贈るあいのしるしってやつ?」
深夜、煌々と輝くスマホに向かって茶化すと、まじめな様子で彼は言う。
「それ、ぼくらの遊園地でつかえるやつ。寝室に置いておくんだよ。三日月は願いを叶えてくれるんだ。」
その日行った場所がどこかはわからない。
ただ、曹灰長石の三日月が、私達の周りを回りながら、パステルカラーの遊園地の乗り物すべてを、一番にのせてくれた。
待つことがない夢の世界。彼も隣でわらってる。
帰る理由がみつからない。二人だけの完璧な世界。
*
「もう1年以上、昏睡状態から覚めません。私達もどうしたらよいか……。笑顔なのがせめても救いです。いい夢を見ていてくれているといいのですが……。」
はかなげにぼんやりと光る三日月は、片手では持ちきれないサイズで、持ち歩くにはおおきすぎる。
「これって、離れるこいびとに贈るあいのしるしってやつ?」
深夜、煌々と輝くスマホに向かって茶化すと、まじめな様子で彼は言う。
「それ、ぼくらの遊園地でつかえるやつ。寝室に置いておくんだよ。三日月は願いを叶えてくれるんだ。」
その日行った場所がどこかはわからない。
ただ、曹灰長石の三日月が、私達の周りを回りながら、パステルカラーの遊園地の乗り物すべてを、一番にのせてくれた。
待つことがない夢の世界。彼も隣でわらってる。
帰る理由がみつからない。二人だけの完璧な世界。
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「もう1年以上、昏睡状態から覚めません。私達もどうしたらよいか……。笑顔なのがせめても救いです。いい夢を見ていてくれているといいのですが……。」
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公開:24/03/22 16:20
遊園地
最近お話を書きはじめました。
すこしづつ、つらつらと。
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