回り続ける観覧車

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日が暮れだしても病院の8階の窓辺で彼女は観覧車を見つめていた。
末期患者は上層階、その事をまだ伝えれていない。

「はい、これ。」
「冷たい!冷えすぎ=」

「あ、今日は暑かったから。」
「病室は大丈夫だよ~もう」
「あ、そうかそうか。」

「ねぇ、夏には乗れるかな~♪」
「お前は元気なんだから、来月の誕生日には行けるんじゃね~?」
夏まで もたないと担当医から聞かされたばかりだった。

どう接していいか分からなかったので、疲れたことにして、久々に家に戻った。
ふと気づくと、電気を点けっぱなしで スーツのまま寝ていた。

深夜にスマホが鳴った。
「急変し、手の施しようがなかった。」とつげられてしまった。
涙がほほをつたった。



達郎は愛子とまた出逢えた。
冷たいジュース、手の温もり、彼女の笑顔、優しい声、揺れる髪、、、
VRゴーグルを外した後も、温かくなった胸は有り難かった。



ファンタジー
公開:24/03/22 05:16
更新:24/03/27 01:44
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心儲け( 東京 )

バドミントンコーチと株FXコーチをしています♪

心儲け @kokoromouke


 

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