共感都市

悩みを抱えた私は共感都市と呼ばれるシンクロニシティを訪れた。
きっとここなら私と同じ悩みを抱えた人達がいる。悩みを共有できれば、きっと心が軽くなる。
藁にもすがる思いで町へと入り、まずは腹ごしらえ。
食民地たるここは皆が美味しいと思うものが取り揃えられてある。ファミレスのような気軽さがあってとても入りやすい。
周りの声に耳を傾けると思った通り、私と同じ悩みを抱えている人がいる。その人達と同席させてもらった。
やはり同じ悩みを抱えているだけあって、すぐに仲良くなれた。
一緒に観光を楽しみ、ベッドタウンへと向かう。
睡民地たるここは皆が夢を見られる場所でもある。枕を並べ、修学旅行のような夜を過ごす。
美味しいものを食べて、ぐっすり眠る。それだけで翌日には抱えていた悩みがすっかり消えてしまっていた。
私は荷物をまとめ、シンクロニシティから足早に去った。
私にはこの町の同調圧力が耐えられなかった。