連鎖

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夜道を歩く会社員の男。すでに時刻は深夜1時を過ぎていた。とっくに終電はない。凍える風の中、男は駅前の公衆電話のそばに陣取り、始発を待つことにした。

彼には近くのホテルを探す体力も残っていなかった。しかし、明日までに片付けるべき業務が依然残っている。だが、睡魔に勝てず眠りについてしまった。

駅舎を照らすライトが消えた。公衆電話の弱々しい光を残して、遂に辺りは真っ暗闇となった。

男は夢を見ていた。それは出世をして、企画部長として事業を任される夢である。誰よりも汗をかいたという矜恃をもつ彼は、人一倍、出世願望も強かった。


すると、何も口にしていなかった男は、あまりの空腹と寒さに震えだした。だが、彼を温めてくれる人は誰もいない。男は抵抗する僅かな体力すら失われ、その体は次第に動かなくなっていった。


男が勤めていた会社では、また一人、気の弱そうな新人が雇われた。これで10人目だという。
ホラー
公開:24/03/24 19:45
更新:24/03/24 21:39

かずま( 関東地域 )

2023/10/19に参戦した新参者です。忌憚のないコメントお待ちしております。

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