実体幽霊

科学者である私は幽霊なんて非科学的なものを信じたくない。信じたくはないが…私には霊感があり、幽霊が見える。
見えてしまう以上、幽霊を認めないわけにはいかない。そこで私は考えた。
『透明人間』がいるんだ。『実体幽霊』がいてもいいだろう。私は幽霊を実体化させる研究を始めた。
可視化だけではダメだ。それではVRと同じ。
幽霊を一時的に受肉させる…それが幽霊の実体化。
この研究には多くのパトロンが集まった。
殺人事件を解決させたい警察。遺産争いに頭を悩ませる遺族。愛する人にもう一度会いたいと願う者。
割合で言えば１：３：６と言ったところだ。
さらに幽霊からもこの研究に是非とも参加させてほしいと多くの声が寄せられた。
遺した人へ思いを伝えたい者。あの世に行く前に自身のスマホ、またはパソコンを破壊したい者。研究に参加してくれた謝礼金を地獄の沙汰へと充てたい者。
割合で言えば１：７：２と言ったところだ。