幻想遊園

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龍が火を吐いた。これに乗るらしい。
「火は隙間から出てますね」
「流行に乗りました」
 尾を喰う蛇の、わずかに開いた口の隙間から、赤い風が見える。
「乗る時に注意して下さい」
 龍の背にある鞍に跨る。乗車体験をかなり前にしてから、鞍に乗っていない。
「安全バーはありますか?」
「ありません」
 まあ大丈夫か。
 龍の鱗は白かった。白龍は飛ぶのが速い。
「うわあ!」
 加速度に体が置いていかれそうになる。
 風と一体になった。
「あっという間でした……」
「もう一度、乗ります?」
「もういいかな」

 バイキングへ来た。船に乗ると振り子のように揺れる。
 龍に比べると退屈。
 それを察知したのか、巨大なタコが船を襲う。
「助けて!」
 ヴァイキングが来た。斧でタコを倒してくれる。

「おはようございます」
 VRゴーグルを外す。目覚めた時の無防備な、この時間が、いちばん苦手だ。
 
SF
公開:24/03/19 12:31

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