成る

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 子供が小さいうちから、私は色々な体験をさせ旅行に連れていき、たくさんの本を読み聞かせた。
 少しでも興味を持てば、習い事の体験教室に連れていく。

 子供が無事に成人した時にアルバムを見ていると、

「こんな小さい頃から習い事してた!?」

「どれも続かなかったけどね」

 驚く子供に私は言った。

「本当に好きなものを見つけた時、本当の人生が始まる。私の好きな言葉よ」

「あんまり覚えてないけど、旅行は楽しかったかも」

 そして子供が見つけた好きなものはトミカだったけれど、私の言葉から何かを納得したようだ。

「まあ、お母さんの場合はあれだったってわけね」

「好きなものは人それぞれよ」

 私は本を大量に持っている。全てコミケでゲットしたお宝だ。

「まぁ、あの……、処分は私に任せて」

「私は高校時代以前の記憶があまり思い出せないから、――あなたの記憶を守れて良かったわ」
その他
公開:24/03/21 22:34
オタク 記憶 コミケ

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