俺を乗せろ!
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「おい、みんな早く降りろ。俺をひとりで乗せろ!」
突然、ジェットコースター乗り場に大声が響いた。男が並んで待つ人々を一気に追い越し、コースターの最前席に乗りこむ。係員が止める間もない。その場にいた人達は危険を感じ、離れていった。
「早く出せ」
男が苛立つ様子に、やむを得ずコースターは彼一人を乗せて出発した。男は歓声をあげ、子どものようにはしゃいでいた。1周して停止すると係員に、
「ありがとう、騒いで悪かった」
そう言ってジェットコースターを降りた。
男は、待機していた警察官に抵抗することなく連れられて行った。
コースターの最前席には、男が家族とジェットコースターを背景に笑顔で写る写真が落ちていた。
男は昨日窃盗事件を起こした。
かつて彼は大企業のエリート社員だったが、仕事も家庭も財産も失い、希望まで失っていた。
思い出のコースターに乗ったら人生をやり直そう、と男は心に決めていた。
突然、ジェットコースター乗り場に大声が響いた。男が並んで待つ人々を一気に追い越し、コースターの最前席に乗りこむ。係員が止める間もない。その場にいた人達は危険を感じ、離れていった。
「早く出せ」
男が苛立つ様子に、やむを得ずコースターは彼一人を乗せて出発した。男は歓声をあげ、子どものようにはしゃいでいた。1周して停止すると係員に、
「ありがとう、騒いで悪かった」
そう言ってジェットコースターを降りた。
男は、待機していた警察官に抵抗することなく連れられて行った。
コースターの最前席には、男が家族とジェットコースターを背景に笑顔で写る写真が落ちていた。
男は昨日窃盗事件を起こした。
かつて彼は大企業のエリート社員だったが、仕事も家庭も財産も失い、希望まで失っていた。
思い出のコースターに乗ったら人生をやり直そう、と男は心に決めていた。
その他
公開:24/03/21 20:08
更新:24/03/22 20:52
更新:24/03/22 20:52
2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。
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