レイニーパーク

雨の日こそ行きたい遊園地がある。
その名もレイニーパーク。あいにくの雨で流れてしまった、叶わなかった約束が集う遊園地だ。降りしきる雨の中、レインコートに長靴を履いて、てるてる坊主が営む園内を巡る。

巨大な水溜りに並ぶアトラクションは色とりどりの傘だ。
傘布で跳ね、露先に乗ってくるくる回り、複雑な骨組みを走行し、中心の軸を上り下りする。音楽の代わりに様々な雨音を聞き、自分が雨粒になった気分で冒険していると、濡れる事がちっとも苦にならないから不思議だ。

アーケードやショップも透明なビニール傘でできている。
伝い落ちる滴が描くレインアートを眺め、レインドリンクやレインフードを堪能し、虹のかけらをお土産に持って帰る。少し塩辛い涙の思い出も、ゲートをくぐる頃には七色のきらめきに変わっている。

身近な雨具を特別な遊具にするレイニーパーク。
ハズレの日になりがちな雨の日が、心はずむハレの日になる。