きらめくフライパン

釣りが趣味の私はフライパン一つでどんな魚料理も作り上げる。
焼くもよし。煮るもよし。テリーヌからムニエルまで何でも作れる！…筈である。
実のところ、私は釣る専門で料理はからっきし。調理しているのは私ではない。
では誰が調理しているかというと悪魔である。
新鮮な生魚を生贄に捧げる。フライパンに描かれた魔法陣が怪しくきらめく。召喚された悪魔が私に代わって料理を作ってくれる。
悪魔に調理を頼む場合、生魚以外にも調味料から野菜まで、必要なものを全て集める必要がある。
一つでも足りないと悪魔は呼びかけに応じてくれない。
昔はそれが原因でよく失敗もしていたが、悪魔にスマホを持たせた今なら前もって必要な材料を聞く事が出来る。
悪魔が作る料理はとても美味しくて、私は魂だけでなく胃袋まで掴まれた。
だから私は悪魔を召喚し、婚姻届を突き付け専属契約を申し出た。悪魔は照れながらもサインしてくれた。
契約成立だ。