ピエロもつらいよ。

陽気な音楽が流れる遊園地。皆が楽しむそんな所で白顔の男は沢山の風船を持ちポツンと１人立っていた。「はぁ…」大きくため息を吐こうと男に注目するものは誰１人いない。
（もう、おしまいだな…）男は近くのベンチへ座った。
男はこの遊園地のピエロである。当時はそれはそれは人気のピエロで、よく子供達を笑顔にしたものだった。男もこれは天職だと嬉々して働いていた。しかしその人気を終わらせたのは1つのニュースだった。
ピエロの連続殺人事件。それは多くのメディアで取り上げられた。親と共に見たのかいつの間にか彼の回りから子供は消えていた。それから次第に映画や小説でピエロは頻繁に恐怖の対象にされ、ピエロの悪評は広まっていく。それに伴ってついに彼にもクビの勧告がきた。ピエロはもう遊園地には必要ないのだと。彼は真面目にピエロをしていたのに世間は厳しかった。
男は立ち上がり事務所へ向かった。己の白を洗い流す為に。