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今日は地元の遊園地で初デート!チカの私服姿が新鮮で眩しい。
「何から乗る?」
「…観覧車にしよう」
彼女が言うならそれで良い。観覧車が上がっていくと、小さな遊園地が一望できる。
「次にあのコースターに乗って、メリーゴーランド、ブランコにコーヒーカップ…」
見下ろしながら、チカは計画を立てている。なるほど、そのための観覧車か。やっぱり彼女は頼もしい。
「で、良いよね?」
スマホを見ながらチカが言う。
「もちろん!」
観覧車を降りて、予定通りに次々と乗っていった。手を繋ぐこともなかったが、隣にいるだけで幸せだ。だが楽しい時間はあっという間。そろそろ僕は行かなければならない。
「約束、ちゃんと守ったよ」
スマホにチカが呟く。そこには僕の笑顔の写真。あの朝、交通事故で僕は死んじゃったけど、彼女は願いを叶えてくれた。
「ありがとう」
僕はそっと囁いて、フワリと浮かぶ。観覧車よりも、高く、遠く…。
ファンタジー
公開:24/03/17 13:10

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