疾走(はし)る遊園地

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国道から歓声や絶叫が聞こえる。今夜も取締りの目を抜けた遊園地が走っているのだ。
これでも一家の主。そろそろ何か言わねば。
私は止める妻子を宥めながら家を出ると、赤信号で停まっている遊園地のゲートを潜った。

「てっぺんからの夜景は最高だぜ」
という男の声がし、見ると一組の親子が観覧車から下りてきた。
「おじさん新入り?」と少年。
「いいねえ、あたいらと遊ぼうよ」と母親。
「あ?嫌かよ。所詮あんたも会社の犬だな」と、最後に父親がメンチを切りながら挑発した。


あれからどのくらい経ったろう…パパはずっと戻ってこない。きっと悪い道に走ってしまったのだ。
が、いつまでも遊んではいられないらしい。今日の昼、御成街道で解散式(パレード)をやるとの噂だ。

見に行くと、木馬が石畳を駆け、ジェットコースターが民家の間を抜けていた。
そしてそんな光景に呆然としている僕に、犬の着ぐるみが風船を手渡したのだ。
ファンタジー
公開:24/03/18 21:08
更新:24/03/18 21:08

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