小さな光と待つ閉園

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不安気に揺れる小さな光と、カラフルな煌めきで溢れる夜の遊園地を並んで歩く。

「大丈夫、パパとママは絶対に見つかるよ。」

ここで働くようになってから5年。沢山の迷子に出会ってきたが、この子のような迷子は初めてだ。一旦ベンチに座り、フードコートで紙コップに入れてきた水を小さな光に飲ませる。

「このお水、甘くない…」

俯く光を指先で撫でて、私は励ます。

「私とここで、もう少し待ってみよう?」


閉園後。
遊園地に静かな暗闇が広がっていく中、大切なものを探すように彷徨う温かな光が二つ現れた。

「パパ!ママ!」

二つの光へまっすぐに飛んでいく小さな光。三つの光は抱きしめあうように合流すると、「ありがとう」とこちらへお辞儀するみたいに揺れて夜空へ飛んで行った。
今夜は星が綺麗だ。瞬く星に紛れて、もうどの光があの親子なのかわからないが、私は手を振り見送り続けた。鼻歌の「蛍の光」とともに。
ファンタジー
公開:24/03/18 12:00
更新:24/04/02 21:14
遊園地 迷子 遊園地の夜は光でいっぱい!

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

いつもご訪問ありがとうございます!
元:ネモフィラは咲うです。大原さやかさんのラジオ「月の音色」では、ペンネーム:花笑みの旅人として投稿しております。

日常に寄り添い、読んだ人がほんのすこ~しだけ前向きになれるような物語を書けたらいいなぁと思っています。

現在、少々多忙につき投稿のみのログインになる可能性が高いです。よろしくお願いいたします!

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