雨降る祭り 海幸視点

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 雨が降る日、豆柴の子犬を拾った。推定一歳。捨てなくても他に手はあったはずだ。連れて帰ったら、家族は大喜びだった。豆柴を買うのが、私の家族の夢だったのだ。その子は女の子だったので、海来と名付けた。みらいと読む。海来は、私達の未来そのものだからだ。毎日の散歩コースは決まっていて海辺を散歩して、近くの公園に立ち寄るのが日課だ。公園の前には交通量の多いスクランブル交差点がある。危ないから海来は抱っこする。その日も海来を抱っこしていた。信号が青だったから渡ったのだが、信号無視の車が私達に向かって走ってきた。私は海来が死なない様に庇った。そしたら、私はいつの間にか天に召されてしまっていた。海来が幸せなら、それでいい。私が命を変えてでも守りたかった物だから。
その他
公開:24/03/15 17:16

Nijika


作家を目指しています。
本を普段読まない人も、ついつい読みたくなってしまう。そんな、物語を綴りたいです。

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