日常と非日常

「日常と非日常の境目なんて簡単に越えられるぜ？」

一つ目小僧が言った。

「例えばさ、こうやってオイラと話しているのがあんたの日常なら、オイラがいなくなったら、非日常になるじゃないか。」

たしかに。

「まぁ、それが続くとだんだん日常になっていくだけだけどな。」

オイラがいない日常が…

それから一つ目小僧は、じゃあな、と言って帰っていった。いつも通りに。

それから二度と会わなくなった。

嘘つき。

全然慣れないよ、今の日常に。

「どうしてるかなぁ…」

会いたくなってきた…

そう思ったとき、

「よっ！」

どこからともなく現れた、一つ目小僧。

その顔をみて、日常とか非日常とか、どうでもよくなった。

あなたに会えるならどっちでも良い。

「おかえり」

「ただいま」