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 惰性で見ていたリビングのテレビに急に砂嵐が走ったのはその時だった。故障かと思い、リモコンのボタンを押したが砂嵐はそこにあるままだった。
 砂嵐が突如消えたかと思うと、そこに草原が現れた。そして、荒れた草原の古井戸から髪の長い女が出てきた。

「来〜る、きっと来る…」

 謎の音楽と共に女は歩き出した。そして、テレビから出てきた女は、這うようにして寄ってきた。

「…やめろ、やめてくれ…」

 つまりそうな声をどうにか出して拒否したが、女は近づいてきた。

 すると、今度はダイニングにある方のテレビに、同じように井戸が映された。しかし、俺はそれに気付かず、恐怖で固まっていた。

 次の瞬間、恐怖は疑問に変わった。俺の前を素通りした女はダイニングに行き、今度はダイニングのテレビに入っていき、そこの井戸に女は消えた。2つのテレビは元通りになった。
 
 俺は呟いた。
「乗り換えとかあるんだ。」
ホラー
公開:24/03/10 01:56
貞子

弟子鈴

でしべる、です。不定期にショートショートを書いています。
ショートショート初心者ですが、精一杯書いてますので、読んでいただけたら嬉しい限りです。

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