名画でショート003『巨大な赤い龍と太陽を着た女』(ウィリアム・ブレイク)
1
1
赤い竜は、自らの肉体に自信を持っていた。鍛え抜かれた両足で岩棚を踏みつけ、盛り上がった肩から伸びるデビルウィングを観客に見せつける。
なんという筋肉。なんという至高の身体。これほどの肉体をもった存在が、この世に現れたことがあっただろうか。
岩棚の下では黄色いローブを来た女神が、まるで神を崇めたてるかのように、両手を合わせている。
赤い竜は確信した。いまのおれは究極体だ。女神など、宇宙の前にひれふす蟻に等しい。
世の中の全ては、このおれのためにある。この肉体のためにある。さあひれ伏すがよい。この赤い竜の肉体に。
「赤井さん」
奇妙な声が聞こえたが、おれは無視した。ポーズを決め続けると、ボールペンで机をたたく音が連呼する。
「赤井竜さん、出番は終わりです。これ以上、ボディービル大会の運営を邪魔するなら失格にしますよ」
なんという筋肉。なんという至高の身体。これほどの肉体をもった存在が、この世に現れたことがあっただろうか。
岩棚の下では黄色いローブを来た女神が、まるで神を崇めたてるかのように、両手を合わせている。
赤い竜は確信した。いまのおれは究極体だ。女神など、宇宙の前にひれふす蟻に等しい。
世の中の全ては、このおれのためにある。この肉体のためにある。さあひれ伏すがよい。この赤い竜の肉体に。
「赤井さん」
奇妙な声が聞こえたが、おれは無視した。ポーズを決め続けると、ボールペンで机をたたく音が連呼する。
「赤井竜さん、出番は終わりです。これ以上、ボディービル大会の運営を邪魔するなら失格にしますよ」
その他
公開:24/03/13 09:25
ログインするとコメントを投稿できます