君の色、僕の色

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幼稚園の時、先生が塗り絵をしようと提案した。
みんなが渡された紙に色を塗っていく。
真っ赤な太陽。青い海。緑の葉っぱ。
ふと隣を見ると、太陽をピンク、海を緑、葉っぱを1枚1枚違う色で塗ってる子がいた。
「へんないろ」
僕がそう言うと、その子はこっちを見て、
「そっちはつまんないいろ」
と言い捨てた。
何だか腹が立って、それ以上何も言わずに色を塗り続けた。



あれから十数年経ち、僕は自分がつまらない人間だと自覚するようになった。
周りに合わせて動くだけ、喋るだけのロボットみたいだ。世界もモノクロに見える。
そんな時テレビで目に入ったのは、鮮やかな色彩の絵画。
あの時の子の絵かと思ったら、どうやら違うらしい。でも、僕の頭の中にあの子の言葉が響いた。
『つまんないいろ』
モノクロに見える世界の中。
僕は僕なりに色を塗っていってみようかななんて、年甲斐もなく思ったある日の夕暮れだった。
その他
公開:24/03/12 07:36

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