愛がひつようです

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空には満点の星。流星がまたたく。とある惑星の衛星の一つに広がる栽培工場。ロボットが一台、高速で駆け回って一回りして停止する。
栽培するのはこの星に生息する藻。増殖が容易で人間の食物に供される。もう何十年も前から製造して地球に送られる。栽培はすべて自動機械。生産管理はロボット一台。忘れた頃に地球から宇宙貨物船がやってきてどっさりと収穫物を載せてゆく。監督ロボットがロボットを健康診断して帰ってゆく。業務報告はメール。ロボットはいつからここで働いているのか記憶がない。栽培を管理し地球とメールするだけ。メールの端々の情報をつなぎ合わせてロボットは人間社会を夢想する。無数の人間が家族とか友人とかグループを作り、人間を再生産して交代して百年に満たず消滅する。人間は戦い殺し合い、それでも続いている。人間が継続している秘密があるのか。夜空を見ていたロボットにフレーズが浮かんだ。「愛がとってもひつようです」
その他
公開:24/03/05 08:53

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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