仮装パーティ前夜

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三月、夜は冷える。暗い夜道に自動販売機が固い歩道を照らしている。青白く冷たい光。自販機にはコーヒー、清涼飲料の派手なパッケージの缶が並ぶ。
「そうだ」とひらめいた。明日は仮装パーティ。で、意表をつく仮装に缶を使おう。空き缶で帽子を作り、首から肩から身体全体を覆う衣装を空き缶で作る。昔の騎士みたいに缶が光ってチャカチャカと音がする。これは受ける。缶を自販機で買うのは金がかかる。見るとゴミ箱に空き缶がたまっている。これだ。ゴミ箱から缶を取り出していると「何をしている」と声をかけられた。振り向くとホームレス風の男。「缶は俺のだぜ」缶を集めて売っているらしい。男は缶をたくさん詰めた袋を背負っている。「缶が欲しい。その缶も全部譲ってくれ」と言うと「十万円」「高い、負けろ」夜道で言い合いを続ける。

パーティ当日に俺はホームレス風の格好。昨夜の押し問答の末、男の服を千円で買ったのだ。さて反響は?
その他
公開:24/03/07 08:57

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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